クリエイターの売上管理が大事な理由
クリエイターの報酬は、クライアントからの振込、ストックフォトやデザイン素材プラットフォームからの入金、印税・ロイヤルティの支払いなど、入金の経路もタイミングもバラバラです。これは仕事の幅が広い証拠ですが、管理をサボっていると、売上と手元のお金がだんだんズレてきます。
たとえば「先月納品した案件の入金がまだ来ていない」ことに気づかず放置していたり、プラットフォームからの入金と直請けの報酬を同じ口座でごちゃ混ぜにしていたりすると、1カ月の終わりに「今月の売上はいくらだったのか」がわからなくなります。請求額と入金額がズレている状態は、確定申告で数字が合わなくなる原因になりますし、税務調査でも真っ先にチェックされるポイントです。
請求書の発行はマネーフォワードで一元化する
売上管理で一番大事なのは、請求書の発行と売上の計上を同じ場所でやることです。ExcelやGoogleスプレッドシートで請求書を作って、別途会計ソフトに売上を手入力する、というやり方だと転記ミスが起きます。
おすすめはマネーフォワード クラウド請求書で請求書を発行し、マネーフォワード クラウド確定申告と連携する方法です。連携はボタンひとつで終わるので、請求書を作った時点で売上の仕訳が自動的に作成されます。入金予定日も請求書に書けるので、わざわざカレンダーやスプレッドシートで管理する必要はありません。
クライアント直請けの案件はこの流れで請求と入金をまとめて管理できます。
- マネーフォワード クラウド請求書で請求書を発行する — 入金予定日も記入しておく
- 会計ソフトに自動で仕訳が作成される — 売上の計上漏れが起きない
- 入金があれば会計ソフト側で自動的にマッチングされる — 請求額と入金額の突き合わせもほぼ自動
- 入金予定日を過ぎても入金がなければ確認する — 未入金の請求書は一覧で見えるので、すぐに気づける
複数のクライアントや収入経路をスプレッドシートで管理表にまとめるくらいなら、マネーフォワードに寄せてしまった方がずっと楽です。
プラットフォーム収入やロイヤルティの取り込み
ストックフォトの販売収入、デザイン素材プラットフォームからの入金、書籍の印税・ロイヤルティなど、請求書を発行しない収入源もクリエイターには多いです。こうした入金は、マネーフォワードの銀行口座連携で自動的に取り込めます。
入金がマネーフォワードに取り込まれたら、売上として仕訳を登録するだけです。入金パターンが不定期でも、口座連携さえしておけば入金の見落としは起きません。
記帳タイミングで気をつけるポイントは3つです。
- 支払い明細が届いた時点で売上計上する — プラットフォームから「今月分の売上確定」の通知やレポートが届いたら、その時点で売上を計上する
- 入金日ではなく確定日で計上する — 実際の振込は翌月以降になることが多いが、帳簿上は売上が確定した日で記帳する
- 少額でも漏れなく記録する — 月数百円のストック収入でも積み重なれば年間で数万円になる。申告漏れは金額の大小にかかわらず指摘される
たとえばストックフォトサイトの12月分の売上レポートが1月に届き、実際の入金が2月になる場合、帳簿上は12月の売上として計上します。年をまたぐ案件では、この計上タイミングを間違えると申告額がずれるので注意してください。
入金確認と売掛金の消し込み
請求書を発行してから入金されるまでには、1〜2カ月のタイムラグがあります。この「請求済み・未入金」の状態が売掛金です。
マネーフォワードの請求書機能を使っていれば、請求書を発行した時点で売掛金が自動計上されます。銀行口座の入金データを取り込むと、請求書との突き合わせもほぼ自動でやってくれるので、差額が出ればすぐにわかります。手作業で1件ずつ照合する必要はありません。
売掛金の管理で気をつけるポイントは3つです。
- 入金予定日を過ぎたら早めに確認する — 2カ月以上放置すると、先方の経理処理のタイミングによっては回収が面倒になる
- 年末をまたぐ売掛金は必ず計上する — 12月に制作して1月に入金される報酬は、12月の売上として計上する。これを忘れると、売上の計上漏れになる
- 入金額が請求額と違ったら原因を調べる — 振込手数料の差し引きや源泉徴収のズレが多い。会計ソフトの画面で差額が表示されるので、原因を確認して処理する
源泉徴収がある案件の管理
クリエイターの報酬で厄介なのが源泉徴収です。デザインやイラストの制作費は源泉徴収の対象になることが多く、案件によって「源泉徴収あり」と「源泉徴収なし」が混在します。入金額だけ見ていると帳簿が合わなくなります。
源泉徴収される場合、クライアントは報酬から所得税(10.21%)を差し引いて振り込みます。たとえば制作費が30万円(税抜)の場合、こうなります。
| 項目 | 金額 |
|---|---|
| 報酬(税抜) | 300,000円 |
| 消費税(10%) | 30,000円 |
| 源泉所得税(10.21%) | △30,630円 |
| 振込額 | 299,370円 |
帳簿には売上として30万円(税抜)を計上し、源泉徴収された30,630円は「事業主貸」や「仮払税金」として記録します。入金額の299,370円だけを売上として計上してしまうと、売上が過少になってしまいます。
源泉徴収のありなしをクライアントごとに管理するには、マネーフォワードの会計画面でも対応できますが、案件数が多い場合はスプレッドシートで「クライアント名・請求額・源泉徴収額・振込額」を一覧にしておくと確認しやすいです。
確定申告では、源泉徴収された税額を所得税から差し引く(還付を受ける)ことができます。クライアントから届く支払調書で年間の源泉徴収額を確認しましょう。ただし、支払調書の送付は義務ではないため届かないこともあります。自分の帳簿やスプレッドシートで源泉徴収額を集計しておくことが大事です。
帳簿と証票の保存期間
請求書の控え、入金記録、経費の領収書、通帳などは、青色申告の場合7年間の保存が義務付けられています(前々年の所得が300万円以下の場合、一部書類は5年間)。月ごとにフォルダに分けて整理しておくと、後から探す手間が省けます。
プラットフォームの売上レポートやダウンロード販売の明細も、月ごとにPDFで保存しておきましょう。クライアントとのメールやチャットで合意した金額のやり取りも、取引の証拠になります。
当事務所のサポート
「収入源が多くて管理が追いつかない」「確定申告のときに売上の数字が合わなくて焦る」——そんなお悩みがあれば、ぜひ一度ご相談ください。
当事務所では、クリエイターの収入パターンに合わせた売上管理の仕組みづくりから、マネーフォワードの導入支援、日々の記帳サポートまで対応しています。請求書の発行フローや口座の使い分けなど、案件の規模や取引先の数に合わせたアドバイスをお伝えします。初回のご相談は30分5,000円〜です。
